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「夢を実現する力」
泉南市文化協会会長
   前職 泉南市教育長                  梶本 邦光

 夢に向かって挑戦を続ける幸代さん。私担任した小学6年生の頃から彼女は、

ナイーブなのにしっかりとしていて存在感のあるリーダーであった。やんちゃな男の子たちも一目置く存在であった。

 彼女の著書「セルフ・セラピーな心」にも登場するが、「卵事件」というのがある。6年生の理科では、孵化前の卵を割って観察する授業があった。「割ってしまったら中のひよこはどうなるのですか?割らないで!教科書の、この写真で十分です」という彼女の意見に反し、卵を割った私に、彼女は一週間挨拶もしなかった。「命」に対する信念を持ち、静かに抗議している彼女の姿に、「教えることは学ぶこと」という教師の基本を思い知らされた。忘れることのできない思い出の一コマである。 

 大学卒業後教師をしていたが、ある時「日本語教師としてパラグアイに行きます」と言ってきたのには驚いた。彼の地でも、持ち前の好奇心で夢を叶えるための挑戦をし、現地のハープ「アルパ」も習得した。帰国して間もない頃、泉南市立文化ホールでのハープ演奏を聴いた時、「続けろよ。」と一言、アドバイスした記憶がある。その後、この楽器は彼女の生き方を表現するツールとして活躍する。私が教育長をつとめていた時、大阪府全市町村の「教育長研究大会」での講演を依頼した。ハープ演奏と語りで表現される「愛・命・平和」のメッセージは、まさに彼女の思いが凝縮されていて、参加者の心に響く、印象深い講演となった。

 幸代さんは小学生の頃から、シャガールを思わせるファンタジックな絵を描いていたが、今では個展を開く腕前だ。また、エッセイ集や絵本の執筆だけでなく、自作の脚本で一人芝居をしたりもする。その多才ぶりがコンサートや講演にも十分に生かされ、すでに数百回のハープ講演を行ってきた。オリジナルCDには「限られた時間の中で人は精一杯生きています。」とある。講演のキーワードは「豊かな心・生きる力・心が育つ」などであり、彼女の生き方の原点でもある。いじめや虐待・不登校など何かと暗いニュースの多い中で、彼女の講演は光明が射す。

 ハープの音色は「魂と心を繋ぐ音色」として一隅を照らす光となり、聴く人の心に愛の花を咲かせてきた。これからも全国各地の人々を笑顔にしていくことだろう。彼女のことなら、「地球を笑顔にするわ」と壮大なことを考えていそうだ。

今後も夢を追い求め、夢を実現していくリーダーであり続けてほしい。

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